影に隠れた実力者

ZUIKO DIGITAL 17.5-45mm F3.5-5.6

フォーサーズ総合カタログには出てこない、抹消された王位継承者のような謎の存在のレンズである。E-500バリューキットの組合せでしか手に入らず、そのバリューキットは一枚ペラのカタログにしか出ていなかったせいか、とにかく知名度がない。E-500が登場したときのオリンパスの普及型標準ズームは、普及型と言うには大柄なZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6しかなく、小型軽量なE-500とはアンバランスであった。このレンズは、そういったアンバランスさへの対応として企画されたのではなかろうか。ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6が285gなのに対して、このレンズは実測210gと一回り軽い。これなら、E-500ともバランスが良い。しかし、まだ広角系レンズを小型化するノウハウが十分でなかったせいか、広角側が17.5mm（換算35mm）と、換算28mmが普通であった当時でも見劣りがした。
ネット情報ではOEMではないかという声もあったが、候補となるだろうシグマ 18-50mm F3.5-5.6 DCは250gと重量がかなり違い、フィルター径も52mmに対して58mmとかなり違う。ほかにはデジタル一眼レフ用レンズの設計製造ができるメーカーが少なかったことから、OEMではなくオリンパス純正だろうと思う。ただし、このレンズは日本製ではなく、MADE IN CHINA である。鏡筒先端にバヨネットはなく、専用フードは用意されていなかったものと思われる。

ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6よりは一回り小さいが、その後継レンズZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6よりは大きい。これでは、短命に終わったのも仕方ないことだろう。しかし実写してみると、解像力はE-5でも十分であるし、発色も普通である。そのため、意外にも作品作りに十分耐えられるレンズである。ZUIKO DIGITAL を名乗らせるに恥ずかしくない。

元々の製造本数はあまり多くはなかったと思うが、少し前までは中古市場にそこそこの玉数が出ていたようではある。しかし、昨今はあまり目にしなくなってしまっている。そのため、程度の悪い玉をオークションで入手したりもしたので、なんと３本が手元にある。どうしようかねえ。